フランチャイズ導入の歴史

現在、様々な業種でフランチャイズが導入され、飲食業やサービス業、介護業など、フランチャイズで展開している業種は多岐にわたります。

このような仕組みは、いつ、どこから始まったものなのでしょうか?

フランチャイズの仕組みが、現在までどのように広まってきたのかその歴史を紹介します。

フランチャイズの発祥

フランチャイズは、現在では日本やアメリカ、ヨーロッパをはじめ世界中で見られます。

このような仕組みを初めて行ったと言われているのは、1850年代のアメリカのミシン製造会社のシンガー社です。

シンガー社では、それまで主流であった直営店による販売網の拡大ではなく、販売店に製品を販売する権利を与えることで、販売網を広げていこうと考えたのです。

同時に、「シンガーミシン」という名称を使用して販売してもらおうと考えました。

それにあたり、販売店に一定の販売地域内で自社のミシンを販売する権利を与え、販売実績に応じて対価を受け取るという方式を採用しています。

つまり、ロイヤリティの仕組みもこの時に生まれたのです。

この時にシンガー社がとった方法は、製品を本部が提供し、商標などの使用を認める、という内容で、工場で大量生産される商品の流通拡大を目的に生み出されました。

つまり、シンガー社はフランチャイズの中でも「商標ライセンス型」という方法を生み出したのです。

このフランチャイズの方法は他の業種でも広がりを見せ、コカ・コーラ社などで行われているボトラーシステムや、ガソリンスタンド、自動車ディーラーなどで用いられるようになりました。

現在のアメリカではよくあるフランチャイズシステムで、巨大産業となっています。

しかし、日本で主流のフランチャイズの仕組みは、本部が製品の提供や商標の使用を許可するだけでなく、店づくりのノウハウや販売方法も本部が提供します。

そのため、シンガー社が作り上げたこの仕組みを、日本では一般的にはフランチャイズとは呼びません。

では、日本で主流のフランチャイズの仕組みはどのように誕生したのでしょうか?

その形態が生まれたのは、第二次世界大戦の終戦後のアメリカで、代表格といえるのがケンタッキーフライドチキン、そしてマクドナルドです。

ケンタッキーフライドチキンの創業は1956年で、創業者は言わずと知れたカーネル・サンダースです。

経営していたレストランの主力商品であるフライドチキンの調味料や調理器具などを他のレストランに購入してもらい、販売数量に応じたロイヤリティを受けとるというシステムを導入したのです。

その後、独立した店舗においてフライドチキンを販売する、という方法をテストした結果、高評価を得たことでチェーン展開をするようになりました。

それからは4年後に200店舗、7年後には600店舗を展開するまでに広がったのです。

一方、マクドナルドは、第二次世界大戦より少し前の1937年に、マクドナルド兄弟が創業しました。

しかし、フランチャイズを行うようになったのはだいぶ後で、レイ・クロックがマクドナルドの調理システムに興味を抱き、交渉の末フランチャイズ権を獲得して、1955年にフランチャイズの1号店をオープンしています。

それまではこのような仕組みであっても行うのはトレーニングや設備の提供などが主であり、開店後のサポートはほとんどありませんでした。

そのせいで、店舗ごとにテイストが異なり統一感がなかったのです。

しかし、マクドナルドでは、レイ・クロックが開店後のノウハウの提供、およびサポートなどの長期的な経営支援を行ったため、創業から4年後には100店舗、6年後には228店舗を展開するようになりました。

このようなフランチャイズの方法を「ビジネスフォーマット型」といいます。

日本での導入

日本でフランチャイズが導入されたのは、1963年のことでした。

最初に導入したのはダスキンと不二家です。

ダスキンは同年に設立されたばかりで、各種道具を使用し、会社や工場などの埃を除去するダストコントロール事業を行っていました。

ダスキンの創業者である鈴木清一氏は、アメリカやカナダに足を運び、フランチャイズの仕組みを学んでいたのです。

また、不二家の場合、創業は明治43年と古く、1963年にはすでに150店舗の直営店を展開していました。

しかし、アメリカのレストランチェーンで行っているフランチャイズの方法を学び、自社に導入したのです。

なお、不二家は、当時から飲食店も経営していました。

しかし、フランチャイズを導入した主な目的は、飲食店ではなく、菓子メーカーとして販売チャネルを増やすことを目的にしていたのが特徴です。

この2社を皮切りに、1965年は白洋舎が、1966年には養老乃瀧などがフランチャイズを導入しています。

そして、レストラン業の資本が100%自由化された1969年以降、導入する企業がさらに増えました。

1970年にはミスタードーナッツ、そしてケンタッキーフライドチキンが、1971年にはマクドナルドが日本に登場しました。

ミスタードーナッツとケンタッキーフライドチキンは1971年に、マクドナルドは1976年にフランチャイズの第1号店をオープンしています。

まとめ

フランチャイズはアメリカで誕生し、100年ほど後に日本に導入されました。

本文で書いたように、アメリカで最初に始まったフランチャイズは、日本で主流のフランチャイズとは仕組みが異なります。

日本で主流となったビジネスフォーマット型のフランチャイズは、今では各種コンビニエンスストアなどの展開でよく使われています。

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