不動産フランチャイズ加盟の際に必要な宅地建物取引業免許について


不動産フランチャイズに加盟する条件として、宅地建物取引業免許があります。
これは、不動産の売買や仲介を行うためには必要な免許です。
具体的には、どのような免許なのでしょうか?
また、その免許を取得するにはどうしたらいいのでしょうか?
今回は、宅地建物取引業免許について、解説します。

宅地建物取引業免許とは?

宅地建物取引士の資格を取得、あるいは資格保有者を設置しただけでは、不動産会社を経営することはできません。
そのためには、宅地建物取引業免許が必要になります。
不動産会社を経営する場合、事業内容として、建物や土地の売買・貸借を行います。
その際、不特定多数の人を対象に、

・宅地や建物の売買または交換
・宅地建物の売買、交換または貸借の代理
・宅地建物の売買、交換または貸借の媒介

を業として行う、つまり、反復・継続して行うことになります。
これを宅地建物取引業といい、それには免許が必要になるのです。

宅地建物取引業免許は、国土交通大臣、もしくは都道府県知事によって交付されていなければなりません。

ただし、不動産会社が自己物件の賃貸を行ったり、不動産管理を行うだけの場合はこの免許を必要としません。
あくまでも、売買や交換を行うか、売買、交換、賃借などの媒介を行う場合に必要とされます。

もしも免許を持たずに該当の行為を行った場合は宅建業法違反となり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、あるいはその両方が課せられます。
宅建業法に定められた欠格要件に該当するため、5年間は宅地建物取引業免許の取得ができず、不動産フランチャイズへの加盟もできなくなるため注意しましょう。

免許はどうやって申請するのか

宅地建物取引業免許は、どのようにして申請すればいいのでしょうか?
また、申請には何が必要で、どれくらいの費用が必要になるのかということも併せて解説します。

まず、免許を申請する先は国土交通大臣か都道府県知事のどちらかです。
どちらから免許を交付されるかは、法人、個人関係なく、事務所の設置状況によって決まります。

宅地建物取引業を営むための事務所が1つの都道府県にしかない場合は、その場所の都道府県知事から交付されます。
仮に事務所が2か所以上あっても、同一の都道府県内にあるならば、都道府県知事免許の交付を受けることになる点に注意が必要です。
2つ以上の都道府県に事務所を設置するのであれば、国土交通大臣から交付されます。

都道府県知事から免許の交付を受けた場合、別の都道府県に事務所を移転したり、本店と支店のうち、どちらかを別の都道府県に移転することがあれば、管轄行政庁が変わるため、「免許換え」という、新たな宅地建物取引業免許への切り替え手続きをしなければなりません。
また、他の都道府県に支店を置くことになった場合にも「免許換え」が必要になりますが、この場合は、都道府県知事免許から、国土交通大臣免許に換えることになります。

宅地建物取引業免許を申請する窓口は、事務所が1つの都道府県にしかない場合も、2つ以上の都道府県にある場合も、本店事務所が存在する都道府県庁にある担当部署が窓口になります。

なお、申請の際は、書類を窓口に直接提出しに行く必要があります。
申請する際に提出する免許申請書、略歴書などの法定様式の書類は、各都道府県または国土交通省のホームページからダウンロードして入手できます。
また、都道府県庁の販売所等で販売していたり、各都道府県の全日本不動産協会で配布しているケースもあったりと、対応はまちまちです。
そのため、ダウンロードではなく現物を入手したい場合には、どこで入手できるか調べておく必要があります。
書類を入手したら、必要事項を記入していきましょう。

申請には公的証明書も必要となります。
本籍で取得する必要のある「禁治産者・準禁治産者・破産者で復権を得ないものに該当しない旨の証明」や、法務局で交付を受ける「登記されていないことの証明書」等、様々な証明書が必要になるので、なるべく早く準備をしたほうがいいでしょう。

必要な書類を揃えたら、正本と副本を用意しなくてはならないので、必要な部数のコピーを取って副本を作成しましょう。

この時、書類には順番が定められているので、その通りに重ねたうえで綴じるようにしてください。
正本と副本のどちらも同様の順番になるように、注意して綴じましょう。

申請の際は、都道府県知事免許の場合は33,000円、国土交通大臣免許の場合は90,000円の申請手数料を納める必要があります。
申請後に審査が行われますが、その結果が出るのに4~6週間ほどかかります。
その後、問題がなければ申請者の本店事務所に、免許の通知が転送不要郵便で送られてきます。

通知を受けたら、本店事務所の所在地を管轄する供託所へ営業保証金の供託をするか、保証協会へ加入しましょう。
営業保証金の供託の場合、本店で1,000万円、支店ごとに500万円を供託しなければなりません。
一方、保証協会へ加入する場合、本店で60万円、支店ごとに30万円を納付することになります。
そのため、不動産フランチャイズを活用して独立し、不動産会社を経営する場合、保証協会に加入した方が資金面でのハードルが低くなります。
なお、保証協会に加入する際は、別途入会金等が必要になる点には留意してください。

営業保証金の供託または保証協会に加入したら、営業保証金を供託した旨の届出、あるいは保証協会からの弁済業務保証金を納付した旨の届出を行う必要があります。

営業保証金を供託した旨の届出には、「営業保証金供託済届出書」と、「供託書の写し」が必要です。
なお、このほかに、供託書の原本や免許通知、印鑑が必要になるケースがあるなど、都道府県によって若干の違いがあります。
事前に必要となるものをよく確認したうえで届出を行い、免許証を受領してください。

一方、保証協会からの弁済業務保証金を供託した旨の届出には、「弁済業務保証金分担金納付書」が必要になります。
こちらも、納付書の原本とコピーが必要になったり、印鑑や免許通知が必要になったりと、都道府県によって必要となる書類等に若干の違いがあるため、事前の確認をしたうえで届出を行い、免許を受領してください。

なお、免許の通知→営業保証金の供託または宅地建物取引業保証協会の加入→届出までの一連の手続きは、3か月以内に済ませる必要があります。
また、宅地建物取引業保証協会への加入手続きにはおよそ2か月かかることを念頭に置いてください。
提出が済んだら、ようやく免許証が交付され、営業を開始できます。

まとめ

宅地建物取引業免許は、不動産を扱う上で必要となるものです。
申請自体はそれほど難しくはなく、欠格事由に該当してさえいなければ、問題なく交付されるでしょう。
ただ、すぐに交付されるのではなく相応の時間がかかるので、その期間を考慮していないと、スムーズにフランチャイズに加盟して営業を開始できません。
不動産フランチャイズに加盟する場合は、宅地建物取引業免許の取得までの期間のことも念頭に置く必要があります。

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