不動産業界がコロナ禍に強い理由とは?

新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの業種が売り上げの低迷など大打撃を受けましたが、不動産業は、その影響は比較的小さいものにとどまりました。
今回は、その理由について解説します。

コロナ禍の影響を受けにくい不動産業界

2020年に発生した新型コロナウイルスは、日本のみならず世界中に感染が拡大し、各国がロックダウン等の対策を行ったことから、人流の停滞を招きました。
日本でも緊急事態宣言が発令され、営業停止や時短営業を余儀なくされた飲食店や百貨店、外出や旅行などの回避により利用者数が大幅に減少した鉄道、航空、旅行等、様々な業界が悪影響を受けたのです。

一方で、コロナ禍の影響を比較的受けにくい業界もありました。
その一つが不動産です。
不動産契約のキャンセルや営業活動の自粛、建築資材の入荷遅れに伴う完工遅延などの影響はありましたが、飲食や百貨店、鉄道などと比較すると、影響は比較的小さなものにとどまったのです。

コロナ禍の不動産業界への影響が比較的小さい理由

コロナ禍で多くの業界が悪影響を受けた中、不動産業界への影響が比較的小さなものにとどまった理由として、不動産が「衣食住」といった生活の根幹部分に深く関係することが挙げられます。

「コロナ禍で今後どうなるか分からないので、出費を減らそう」と考えた場合、まずは外食や旅行など、生活に必須とはいえない遊興費から削減しようとする人が多いのではないでしょうか?
事実、コロナ禍では飲食業はじめ、遊興費との関わりが深い業種が早い段階から大きな影響を受けています。

それに対し、家賃や不動産の購入、リフォームなど不動産に関する費用は、生活費の一部として組み込むケースが多いと考えられます。
不動産は「生活に必要なもの」との認識がされていることから、すぐに削減する対象にはなりにくいのです。

また、日本は地震や台風が頻繁に発生する災害大国でもあるため、防災の観点から、「住宅にはある程度のお金をかける必要がある」との考え方が根強いことも、削減の対象になりにくい理由の一つであると考えられます。

生活の三大要素である衣食住のうち、不動産は「住」に該当します。
「衣」や「食」が思い立ったらすぐにでも費用削減に取り組めるのに対し、不動産の場合は即座に削減することは難しいでしょう。
そのため、コロナ禍にも比較的強く、影響が出るとしても、経済状態がかなり悪化してからになると考えられるのです。

コロナ禍が不動産売買仲介への追い風に

コロナ禍で「おうち時間」が増えたことが、特に不動産売買仲介にとって追い風になりました。
テレワークが急速に広がったことから、在宅時間が増え、住まいに目を向ける人が増えた結果、「自宅で快適に過ごしたい」「住まいを居心地の良いものにしたい」というニーズが増えました。

その結果、修繕やメンテナンス、老朽化した設備や機器の交換などといったリフォームのニーズも増えたのです。
また、テレワークの普及で通勤時間を気にする必要がなくなったことから、特に首都圏在住の人が、郊外や地方の戸建てを求めるケースが増えました。
日銀の金融緩和が続いていることに伴う住宅ローンの低金利も、住宅の購入を後押ししたと考えられます。

例えば、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の「地方四市」の2022年の公示地価を確認すると、住宅地の対前年平均変動率は、2021年の+2.7%をさらに上回る+5.8%となっています。
これらの地方都市は、コロナ禍前から住宅地の公示地価が上昇傾向にあり、コロナ禍のさなかでも対前年平均変動率はプラス圏を維持していました。
駅前の再開発が盛んに行われている、周辺エリアからの人口流入が続いている等の理由から、コロナ禍前から人気を集めていたと考えられますが、コロナ禍がそれに拍車をかけたと推測されます。

また、首都圏に関していえば、多摩地域や神奈川県、埼玉県、千葉県などで、2021年の公示地価のうち住宅地の対前年平均変動率はプラスとなっています。
首都圏の賃貸住宅に住む20代や30代の小さな子供のいるファミリー層が、コロナ禍を機に、騒音や手狭な間取りといった問題を解消すべく、予定を前倒しして郊外の戸建てを買い求めるケースが増えたのです。

このように、コロナ禍は不動産業界の中でも、特に不動産売買仲介に好影響を与えました。
その結果、2021年度(2021年4月~2022年3月)の不動産流通主要28社・グループの売買仲介実績はコロナ禍前の2019年度を上回る結果になっています。
コロナ禍の落ち込みからの反動回復だけにとどまらず、旺盛な住宅購入需要から、好調が続いているのです。

まとめ

不動産業界はコロナ禍の影響を受けにくかった業界の一つです。
また、不動産業界の中でも不動産売買仲介は、コロナ禍を機に戸建て需要が増えたことから、コロナ禍前よりも好調になっています。
なお、不動産の売却のニーズは2021年度も弱い傾向にありますが、足元では回復傾向にあります。
それに伴い在庫数も回復していくと考えられるため、今後、取引は再び活発になっていくでしょう。
そのため、これから不動産フランチャイズに加盟して不動産業を営むのであれば、売買を専門としているところが良いと考えられます。
確実にノウハウを身に付けられ、フォロー体制が整っている不動産売買専門の不動産フランチャイズがおすすめです。

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